QS世界大学ランキング2025に見るデータの裏側
ゆかり
2025/06/10
はじめに
「QS World University Rankings 2025」の発表により、世界トップ100の大学とその今後の強みが新たな視点から描かれました。研究や教育の評価だけでなく、環境への取り組みやグローバルなネットワーク、国際受け入れ体制など、大学が競争力を維持し、社会にインパクトを与えるための多面的な努力が反映されています。
本記事では、世界の高等教育の卓越性を支えるパターンと地域ごとのトレンドに注目し、国別や地域別の内訳、研究引用数、就職実績、持続可能性といった各指標の実態を掘り下げます。学生、教育者、政策担当者の皆様にとって、2025年の世界最高峰の大学群を理解するためのデータ豊富なガイドとなるでしょう。
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地域別のパフォーマンス
アメリカ大陸の大学は、学術的な評価と企業からの信頼の両面で非常に高いパフォーマンスを示しています。一方、アジアやオセアニアは全体としては競争力が高いものの、企業評価においては若干点数が劣る傾向があります。
地域 | 平均総合スコア | 平均学術評価 | 平均企業評価 |
---|---|---|---|
Americas | 77.27 | 90.45 | 84.93 |
Asia | 76.80 | 84.94 | 81.96 |
Oceania | 76.82 | 79.27 | 68.37 |
Europe | 74.11 | 77.37 | 77.57 |
トップ100における地域別内訳
Europe:34校
Americas:33校
Asia:23校
Oceania:10校
ヨーロッパがわずかにアメリカ大陸を上回る結果となりました。
国別のトップインスティテューション
2025年のランキング上位に位置する国は以下の通りです。
USA – 第1位(MIT)
UK – 第2位(インペリアル・カレッジ・ロンドン)
スイス – 第7位(ETHチューリッヒ)
シンガポール – 第8位(NUS)
オーストラリア – 第13位(メルボルン大学)
中国本土 – 第14位(北京大学)
香港 – 第17位(香港大学)
フランス – 第24位(PSL大学)
カナダ – 第25位(トロント大学)
ドイツ – 第28位(ミュンヘン工科大学)
下記は、各指標を含む「QS World University Rankings 2025」の概要をMarkdown形式で整理したものです。
教員と学生の比率
教員からの個別指導に重点を置く大学を紹介。少人数制クラスと個別のフォローが、優れた学業成績に繋がっています。
順位 | 大学名 | 教員・学生スコア |
---|---|---|
1 | エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ド・ローザンヌ (EPFL) | 100.0 |
2 | カリフォルニア工科大学 (Caltech) | 99.9 |
3 | ケンブリッジ大学 | 99.7 |
4 | オックスフォード大学 | 98.5 |
5 | ハーバード大学 | 98.3 |
6 | マサチューセッツ工科大学 (MIT) | 97.5 |
7 | スタンフォード大学 | 97.4 |
8 | プリンストン大学 | 96.8 |
9 | イェール大学 | 96.7 |
10 | シカゴ大学 | 95.9 |
教員一人当たりの引用数
各大学の研究成果が高く評価され、引用数の多さは国際的な学術影響力の強さを示しています。
順位 | 大学名 | 教員一人当たり引用数スコア |
---|---|---|
1 | プリンストン大学 | 100.0 |
2 | マサチューセッツ工科大学 (MIT) | 99.8 |
3 | カリフォルニア大学バークレー校 (UCB) | 99.5 |
4 | スタンフォード大学 | 99.3 |
5 | ハーバード大学 | 99.2 |
6 | カリフォルニア工科大学 (Caltech) | 99.1 |
7 | オックスフォード大学 | 98.9 |
8 | ケンブリッジ大学 | 98.6 |
9 | シカゴ大学 | 98.4 |
10 | イェール大学 | 97.9 |
国際性の高い教員と学生
国際教員スコア
以下の表は、国際的な教員比率が最も高い大学を示しています。
順位 | 大学名 | 国際教員スコア |
---|---|---|
1 | 香港城市大学 | 100.0 |
2 | 香港大学 | 99.8 |
3 | 南洋理工大学 | 99.6 |
4 | ETHチューリッヒ | 99.4 |
5 | シンガポール国立大学 | 99.3 |
6 | メルボルン大学 | 99.2 |
7 | ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSE) | 99.1 |
8 | ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) | 98.9 |
9 | インペリアル・カレッジ・ロンドン | 98.7 |
10 | シドニー大学 | 98.6 |
国際学生スコア
こちらは、国際色豊かな学生が多く在籍するトップ10大学のランキングです。
順位 | 大学名 | 国際学生スコア |
---|---|---|
1 | メルボルン大学 | 100.0 |
2 | シドニー大学 | 99.9 |
3 | ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) | 99.8 |
4 | インペリアル・カレッジ・ロンドン | 99.6 |
5 | ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス | 99.4 |
6 | モナッシュ大学 | 99.3 |
7 | ニューサウスウェールズ大学 | 99.1 |
8 | シンガポール国立大学 | 98.9 |
9 | トロント大学 | 98.7 |
10 | 香港大学 | 98.5 |
国際研究ネットワーク
各大学が国際的なパートナーシップや共著ネットワークを活用し、グローバルな研究連携を推進しています。
順位 | 大学名 | 国際研究ネットワークスコア |
---|---|---|
1 | オックスフォード大学 | 100.0 |
2 | ETHチューリッヒ | 99.8 |
3 | ケンブリッジ大学 | 99.3 |
4 | ハーバード大学 | 99.6 |
5 | スタンフォード大学 | 98.7 |
6 | トロント大学 | 98.4 |
7 | シンガポール国立大学 | 98.2 |
8 | メルボルン大学 | 97.9 |
9 | ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) | 97.7 |
10 | インペリアル・カレッジ・ロンドン | 97.4 |
就職実績
就職に強い大学
高い就職スコアは、産業界との連携や卒業生の就職成功率を示す重要な指標です。以下の表は、就職実績に優れたトップ10大学を紹介しています。
順位 | 大学名 | 就職実績スコア |
---|---|---|
1 | ハーバード大学 | 100.0 |
2 | オックスフォード大学 | 100.0 |
3 | ケンブリッジ大学 | 100.0 |
4 | スタンフォード大学 | 100.0 |
5 | マサチューセッツ工科大学 (MIT) | 100.0 |
6 | プリンストン大学 | 99.8 |
7 | イェール大学 | 99.7 |
8 | カリフォルニア工科大学 (Caltech) | 99.6 |
9 | シカゴ大学 | 99.4 |
10 | コロンビア大学 | 99.3 |
持続可能性
これらの大学は、環境や社会に配慮した取り組みを先導する持続可能性におけるグローバルリーダーとして評価されています。以下は、持続可能性パフォーマンスが高いトップ10大学です。
順位 | 大学名 | 持続可能性スコア |
---|---|---|
1 | トロント大学 | 100.0 |
2 | カリフォルニア大学バークレー校 (UCB) | 100.0 |
3 | ブリティッシュコロンビア大学 | 99.8 |
4 | マンチェスター大学 | 99.8 |
5 | オークランド大学 | 99.7 |
6 | シドニー大学 | 99.6 |
7 | メルボルン大学 | 99.5 |
8 | シンガポール国立大学 | 99.4 |
9 | エジンバラ大学 | 99.3 |
10 | ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) | 99.1 |
総合スコアに影響する要素
各指標間の相関関係を示す相関行列により、各スコアが総合パフォーマンスにどう結びつくかが明らかになりました。
指標の組み合わせ | 相関係数 |
---|---|
学術評価と総合スコア | 0.68 |
企業評価と総合スコア | 0.52 |
教員・学生比率と総合スコア | 0.43 |
就職実績と総合スコア | 0.47 |
教員一人当たり引用数と総合スコア | 0.49 |
持続可能性と総合スコア | 0.24 |
国際学生比率と総合スコア | 0.32 |
学術評価と企業評価が総合スコアの最も大きなドライバーとなっている一方、持続可能性や国際性は上位100校においては影響力が比較的小さいことが分かります。
国別パフォーマンス概要
国名 | 大学数 | 平均順位 | 総合スコア | 学術評価 | 企業評価 | 持続可能性 |
---|---|---|---|---|---|---|
USA | 25 | 41.2 | 79.54 | 90.32 | 84.82 | 70.29 |
UK | 15 | 46.8 | 77.83 | 81.59 | 85.70 | 92.12 |
Australia | 9 | 44.9 | 77.61 | 78.94 | 71.00 | 92.58 |
South Korea | 5 | 61.0 | 72.04 | 78.36 | 92.08 | 73.40 |
Hong Kong SAR | 5 | 43.8 | 77.76 | 78.82 | 45.88 | 80.76 |
アメリカ合衆国
強み:学術評価(90.32)、企業評価(84.82)、世界中の研究ネットワーク。
課題:国際教員・学生数が他国に比べて低め(教員:54.77、学生:61.10)。
注記:トップ100において最大の存在感を誇っています。
イギリス
強み:国際性に優れ、教員(95.61)・学生(95.97)の両面で高評価。就職実績や持続可能性も強い。
課題:教員一人当たり引用数がやや低い(60.13)。
オーストラリア
強み:国際性と持続可能性において極めて高いスコア(持続可能性:92.58)。
課題:教員・学生比率が低く、大規模なクラス運営が伺えます(16.99)。
韓国
強み:企業評価が非常に高い(92.08)とともに、教員・学生比率も良好。
課題:国際性指標(教員:19.02、学生:25.48)や国際研究ネットワークの点数が低い。
香港
強み:国際教員スコアが完璧な100点、かつ引用数も非常に高い(94.78)。
課題:企業評価が著しく低く(45.88)、改善の余地が見られます。
以下は、各地域ごとにQS2025ランキングの主要データをMarkdown表形式で整理したものです。
アメリカ大陸 – QS2025ランキング
順位 | 大学名 | 所在国 | 総合スコア |
---|---|---|---|
1 | マサチューセッツ工科大学 (MIT) | アメリカ | 100.0 |
4 | ハーバード大学 | アメリカ | 96.8 |
6 | スタンフォード大学 | アメリカ | 96.1 |
11 | カリフォルニア大学バークレー校 (UCB) | アメリカ | 91.2 |
18 | トロント大学 | カナダ | 86.3 |
... | ... | ... | ... |
ヨーロッパ – QS2025ランキング
順位 | 大学名 | 所在国 | 総合スコア |
---|---|---|---|
2 | インペリアル・カレッジ・ロンドン | イギリス | 98.5 |
3 | オックスフォード大学 | イギリス | 96.9 |
5 | ケンブリッジ大学 | イギリス | 96.7 |
7 | ETHチューリッヒ | スイス | 94.4 |
8 | ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) | イギリス | 92.4 |
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アジア – QS2025ランキング
順位 | 大学名 | 所在地域 | 総合スコア |
---|---|---|---|
9 | シンガポール国立大学 (NUS) | シンガポール | 91.8 |
11 | 北京大学 | 中国本土 | 91.2 |
14 | 清華大学 | 中国本土 | 89.3 |
17 | 香港大学 | 香港 | 88.3 |
18 | 南洋理工大学 | シンガポール | 87.9 |
... | ... | ... | ... |
オセアニア – QS2025ランキング
順位 | 大学名 | 所在国 | 総合スコア |
---|---|---|---|
13 | メルボルン大学 | オーストラリア | 90.5 |
19 | シドニー大学 | オーストラリア | 87.2 |
23 | ニューサウスウェールズ大学 (UNSW) | オーストラリア | 84.7 |
27 | オーストラリア国立大学 | オーストラリア | 82.1 |
31 | クイーンズランド大学 | オーストラリア | 81.0 |
... | ... | ... | ... |
結論
QS2025ランキングが示すように、世界の高等教育は多様性を増し、卓越性の定義も拡大しています。伝統的なアメリカやイギリスの強豪大学は引き続き堅実な基盤を保持していますが、アジア、オセアニア、ヨーロッパの新興勢力が、研究、持続可能性、国際協力への注力で現状に挑戦しています。
分析の結果、学術評価と企業評価が総合順位の中核をなす中、最も顕著な改善は持続可能性への取り組みと国際的な連携によって推進されていることが分かります。大学にとってのキーポイントは、グローバルな知名度、戦略的なパートナーシップ、そして包括的なキャンパス環境の整備であり、これらが今後の成長の鍵となるでしょう。学生や関係者にとって、ランキングは単なる順位表ではなく、これからの教育を形作る価値観を映し出す鏡となるはずです。